マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

パンスペルミア? そんなバカな!

 ――生命は、地球上の空間で誕生したのではなく、地球上以外の空間で誕生した。

 と考える、

 ――パンスペルミア説(panspermia hypothesis)

 は――
 全宇宙の空間に占める地球上の空間の割合を意識するとき――
 それほど疑似科学的には感じられない――
 ということを――

 きのうの『道草日記』で述べました。

 ……

 ……

 正直にいえば――

 僕は――
 パンスペルミア説が好きではありません。

 この考え方に初めて触れたときは、
 (そんなわけないだろ!)
 と思いました。

 ……

 ……

 ――パンスペルミア(panspermia)

 は――
 「あちこちにある」あるいは「広範囲に分布している」という意味の接頭語、

 ――パン(pan)

 と――
 「種」という意味の単語、

 ――スペルミア(spermia)

 との複合語です。

 ここでいう「種」とは――
 「生命の種」のことですから――
 「スペルミア」には、

 ――胚種

 といった言葉があてがわれたりします。

 よって、「パンスペルミア説(panspermia hypothesis)」は、

 ――胚種広布説

 などと表記されたりもします。

 この考え方を知ったときに――
 僕が疑問に思ったのは、
 (その「胚種」とやらは、本当に、宇宙で永続的に存在しうるのか)
 ということです。

 当たり前ですが――
 宇宙には大気がなく、放射線が激しく飛びかっています。

 (そんなところで、おそらくは有機物の塊である「胚種」とやらが、構造を安定的に保てるのか)
 と疑ったのです。

 また――
 仮に、構造を安定的に保てるとして、
 (その「胚種」とやらが、地球の大気圏に突入する際に、燃え尽きないはずがないではないか)
 というのも――
 大きな疑問でした。

 よって――

 (パンスペルミア? そんなバカな!)
 というのが――
 僕の正直な第一印象でした。

 が――

 ……

 ……

 最近になって――

 思うようになったのです。

 ……

 ……

 ――生命の起源

 のような――
 現代の自然科学が大いに悩んでいるテーマを扱う際には――
 現行の生物学的ないし生化学的な知見に基づいた理屈は、とりあえず後回しにするのがよいのではないか、と――

 考え方の本筋こそが重要であって――
 細い脇道での整合性は、とりあえず保留にしておくのがよいのではないか、と――

 なぜならば――

 現行の生物学的ないし生化学的な知見は――あるいは、他のあらゆる自然科学領域での知見は――
 今後、あっさり書き換わる可能性があるからです。

 考え方の本筋に着眼する限り――
 (なかなかに侮れない)
 と感じます。