マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

織田信長は無限級数の結論を信じたか

 ――級数は、無限になって初めて面白くなる。

 ということを――
 きのうの『道草日記』で述べました。

 ……

 ……

 ときどき――
 超現実主義者・超合理主義者と思しき人をみかけます。

 ――自分の目で確かめた物事しか信じない。

 という人です。

 そんな人たちの筆頭として――
 例えば――
 日本史上有名な織田信長などが挙げられるかと思いますが――

 ふと――
 思ったのです。

 ――織田信長は、無限級数の結論を信じたであろうか。

 と――

 ……

 ……

 つまり――

 もし――
 織田信長が、今日の高校数学でいう無限級数の概念を知ったとして――

 その結論を信じたのであろうか、と――

 例えば――
 r を、

  0 < r < 1

 を満たす実数とし――
 n を自然数とし――
 n を無限大とみなすときに、

  r の n 乗 → 0

 を受け入れたであろうか、と――

 ……

 ……

 無限級数の結論は――
 合理的ではあるのですが――

 現実的ではないのですよね。

 少なくとも、

  r の n 乗 → 0

 を自分の目で確かめることはできない――

 もちろん――
 地道に計算をしていけば――
 その値が0に近づくことは確かめられます。

 が――
 いくら計算を重ねたところで――
 計算の結果が本当に0になることはない――

 なのに、

  r の n 乗 → 0

 を受け入れて――
 無限級数の結論を――
 織田信長は、信じたであろうか、と――

 ……

 ……

 僕は、
 (信じなかったんじゃないか)
 と思うのです。

 ……

 ……

 いや――

 それは――
 ちょっと、いいすぎか――(笑

 ……

 ……

 が――
 少なくとも、

 ――自分の目で確かめた物事しか信じない。

 と決めている人にとっては、

  r の n 乗 → 0

 は受け入れがたいに違いない――

 よって――
 もし――
 織田信長が――
 巷間、伝えられているように――
 本当に、

 ――自分の目で確かめた物事しか信じない。

 と決めていたのなら――
 無限級数の結論は信じなかったに違いない――
 と思います。