――アキレスと亀
の逆説が――
少なくとも日常の感覚では、解消できるように思える――
ということを――
きのうの『道草日記』でお示ししました。
……
……
以上のような論証――実際には、論証もどき――を高校時代に思いつくくらいに――
僕は数学に関心をもっていましたが――
白状をすれば――
僕は――
数列や級数が大嫌いでした。
(なんだ、これ、めんどくせえ~)
と思って――
けっこう本気で毛嫌いしていました。
同級生の中には、
――数列って面白い。
といって――
喜んで勉強をしていた人がいたのですが――
(……ありえない!)
と――
僕は思っていました。
それくらい――
数列や級数を憎悪していたわけですが――
その後――
イヤイヤながらも数列や級数の計算をしていくうちに――
なぜか――
(そうでもないのかな)
と思うようになりました。
そして――
高校を卒業し――
大学に入学する頃には――
(数列って面白い!)
と思うようになっていました。
大学入学後、半年くらいして――
僕は、高校生に数学などを教えるアルバイトを始めたのですが――
その頃には――
すっかり数列や級数が好きになっていました。
数列や級数の面白さについて――
高校生に熱く語っていたように思います。
……
……
数列や級数に対する僕の思いの劇的な変化は――
いったい何であったのか――
しばらくは気にもとめていませんでしたが――
大学を卒業して大学院へ進んだ頃に――
ある教養書を読んでいて――
次の一節に行き当たり――
(なるほど……)
と思いました。
そこには――
こう書かれていました。
――級数は、無限になって初めて面白くなる。
つまり、
ということですね。
思い返してみると――
僕の場合――
数列や級数を学び始めたのは、高校2年のときで――
無限級数を学び始めたのは、高校3年のときでした。
つまり――
高校2年までは、大嫌いだったのに――
高校3年になったら、いつの間にか大嫌いではなくなっていた――
ということでした。
そのようなわけでしたので――
そのときにも思ったし――
今も思っているのですが――
僕は、
(数列や級数を教えるときに、同時に無限大の概念も教えたほうがよいのではないか)
と思っています。
……
……
もちろん――
高校数学の教育現場の実情を見聞きするに――
そう簡単な話ではないことは、何となくわかるのですが――
(数列嫌いや級数嫌いを増やさないためには、けっこう本気で考えたほうがいいのではないか)
と思っています。