「粋(いき)」が「色気の嗜(たしな)み」である以上、
――男性の「粋」
と、
――女性の「粋」
とは区別されるのが自然でしょう。
きのうまでの『道草日記』では、あえて男女の「粋」を区別しませんでした。
4日前の『道草日記』で述べたように、
――粋は人物に固有の現れ方をする。
という考えを採るならば、「粋」の性別に注目をしても、あまり意味がないからです。
以上のことを踏まえ――
以下のことを考えてみたいと思います。
すなわち、
――「粋がる」というときの「粋」は、ほぼ必ずといってよいほどに、男性の「粋」を意味しているのではないか。
という問いです。
――おめぇ、粋がってんじゃねぇよ!
というときの「おめぇ」は、まあ、たいていは男性でしょう――女性ということが、どれほどあるでしょうか――
このことは、
――「粋」を醸し出したがるのは女性よりも男性のほうである。
という傾向の存在を示唆しています。
そのような傾向は、たしかに存在するのでしょうか――
……
……
ちょっと、すぐには答えを出せそうにありませんが――
1つ、いえそうことは、
――「粋」に強い関心をもっているのは女性よりも男性のほうである。
です。
それは、「粋」が「色気の嗜(たしな)み」であることを思えば、当然のことかもしれません。
――色気
も、
――嗜み
も、たぶん女性より男性のほうが口喧しく論じたがります。
まったく別次元の事柄だろうと思いますが――
どういうわけか、どちらも、つい男性が気にしてしまうような事柄です。
――粋
は、
――男の関心事
といってよいように思います。