感染症政策では、
――感染拡大の抑圧
の一本槍でいくしかない――
との私見を、きのうの『道草日記』で述べました。
その一本槍でいく結果――
病原性の高低にかかわらず――
感染力が弱い場合には、文字通り、“感染拡大の抑圧”という帰結が得られ――
感染力が強い場合には、“感染拡大の抑圧”という帰結は得られないが、“感染急増の緩和”という帰結は得られる――
とも述べました。
いわゆる新型コロナ・ウイルス感染症についていえば――
その病原性は、少なくとも統計的には、高いとはいえません。
――7~9割は軽症、1~3割が重症
といわれていますから――
病原性は、一部分の感染者にとっては確かに高いのですが、大部分の感染者にとっては高くないのです。
が――
「7~9割は軽症」ですから、感染力は、
――明らかに強い。
といえます――
軽症の感染者は、症状が重くないので、いつも通りの生活を送ろうとし、その結果、身近な人たちにウイルスを次々とうつしてしまい、新たな感染者を急激に生み出してしまうからです。
先ほど述べた通り――
このような感染力の強い感染症に対しても――
結局は、
――感染拡大の抑圧
に努めるしかないのだ、ということは――
今回の新型コロナ危機に接し、よくわかりました。
では――
このような事態に際し、具体的に、どのような政策が望ましいのでしょうか。
残念ながら――
すでに世界各地で、“感染拡大の抑圧”という帰結はもちろんのこと、“感染急増の緩和”という帰結さえも得られなかったことが、早々と確定していますので――今になって、どんな政策を立案しようが、しょせんは後の祭りなのですが――
この次に起こる似た事態に備えて、
――感染力の強い感染症に対する“感染拡大の抑圧”の政策
の在り方は、積極的に考察されるべきでしょう。
その政策の前提は、
――“感染急増の緩和”を狙って“感染拡大の抑圧”を試みる。
という不合理の受容です。
この際、
――“感染拡大の抑圧”の試み
は、あくまで、
――本気
でなければなりません。
――どうせ狙うのは“感染急増の緩和”だから、ほどほどの試みでよい。
といった姿勢では――
おそらく、実効性は得られません。
――“感染急増の緩和”を狙って“感染拡大の抑圧”を試みる。
言葉で表すのは簡単ですが――
実際に行うのは、生半可な難しさではありません。