ミャンマーで国軍がクーデターを起こした問題は――
状況を知れば知るほどに、
(難しい――)
と感じます。
クーデターを起こした国軍の総司令官はミンアウンフラインさんという人で――
昨今のミャンマーの情勢に関心をもっていた外国人の間では、どちらかというと、
――穏当な民主派
と目されていたそうです。
――あの総司令官が、よりによってクーデターを?
というのが率直な感想であった、とか――
……
……
そのミンアウンフラインさんは――
3日前にテレビ演説を行い、
――昨年の総選挙で不正があったので、クーデターを起こした。
という従来の国軍の主張を繰り返した上で、
――国内で敵対をしている少数民族との融和を優先課題とする。
とも述べたそうです。
この「内戦終結を優先――」のメッセージは――
僕には大変に重要と感じられましたが――
触れているメディアは多くありません。
おそらく、
――クーデター正当化の方便に過ぎない。
との判断があるのだと思います。
たしかに、そうかもしれません。
……
……
ミャンマーの国内には――
政府ないし国軍と敵対をしている少数民族が、20近くあるのだそうです。
そのうちの半分くらいは、今回のクーデターで倒された政権――事実上のアウンサンスーチー政権――が執政をする前に既に和平協定に応じていたそうです。
そして、アウンサンスーチー政権下で、新たに2つの少数民族との和平協定が成ったといいます。
この「2つ」を「少ない」とみるか、「多い」とみるか――
国軍は「少ない」とみているようです。
その原因を、アウンサンスーチーさんの指導力のなさに求めたのでしょう。
が――
もちろん、アウンサンスーチー政権側のいい分としては、
――国軍が協力をしなかったからだ。
と、なります。
――そんな状況でさえ、新たな和平協定が2つも成ったのだから、むしろ、上出来である。
と考えていたかもしれません。
ミンアウンフラインさんは、3日前の演説で、敵対中の少数民族の代表者を自らの軍事政権の評議の場に加えることを明らかにしたそうです。
よって――
うまくいけば――
これによって、ミャンマーの全土に平和が訪れるわけですが――
今回のクーデターの前から政府や国軍と和解をしていた少数民族にとっては――
面白くないはずです。
現に今回のクーデターには猛反発をしているといいます。
既存の和平協定が破られる危険性が高まっているそうです。
……
……
ミンアウンフラインさん率いる国軍の正義が、アウンサンスーチーさんやアウンサンスーチーさんの支持者の皆さんの正義でないことは、明白です。
が――
その逆も、またしかりです。
――今回のクーデターは何が善で何が悪かがわからない状況の具体例として典型的である。
との見方があるそうですが――
まさに、その通りです。
冒頭で、
――状況を知れば知るほどに「難しい――」と感じる。
と述べたのは――
そういうことです。