マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

英傑の指導性(2)

 価値評価の疑似空間の原点が移ろえば――

 その移ろいとは正反対の方向へ――

 自分の意志が移ろうのを感じるはずである。

 

 原点が移ろうということは――

 座標軸が移ろうということだからである。

 

 例えば――

 価値評価の疑似空間が 3 次元とみなす時に――

 その原点が、

  速度(0.1,0.1,0.1)

 で移ろえば――

 自分の意志は、

  速度(−0.1,−0.1,−0.1)

 で移ろうのを感じるはずである。

 

 よって――

 自分の意志を、

  速度(1,1,1)

 で移ろわせれば――

 価値評価の疑似空間では、

  速度(0.9,0.9,0.9)

 で移ろうのを感じる。

 

 そうすれば――

 自分の意志は、原点の先回りをして移ろうことになる。

 

 今――

 原点の移ろいとは――

 人の世の大多数を占める凡人たちの意志の相加平均――つまり、凡人たちの総意――であった。

 

 つまり――

 自分の意志が、あたかも凡人たちの総意を導いているかのように思えるのである。

 

 これが、

 ――英傑の指導性

 の原理であろう。

 

 英傑であることに必要なのは――

 自分の意志を凡人たちに行き渡らせることではない。

 

 凡人たちの総意の移ろいに、いち早く気づき――

 その移ろいの速度よりも十分に大きな速度で――

 自分の意志を移ろわせることである。

 

 『随に――』