文化史は――
概して非凡の者たちによって紡がれている。
だから――
難しい。
政治史は違う。
人の世の大多数を占める凡人たちと――
それら凡人たちの総意を汲み取ることに長けた英傑たちによって――
紡がれている。
だから――
易しい。
……
……
凡人たちは――英傑たちも含め――互いに互いの理解が可能である。
そして――
政治の活動は――
常に、
――平凡
を旨とする。
それは、
――平凡
であればあるほどに――
凡人たちによって、より良く理解をされる。
より多くの凡人たちによって、より良く理解をされる活動は――
政治として、より優れている。
政治とは――
そういうことである。
……
……
凡人たちだけではない。
非凡の者たちも――
より良く理解をしうる。
学術に非凡の者も――
芸能に非凡の者も――
産業に非凡の者も――
こと政治においては――
たいていは凡人たちの一人である。
ゆえに――
政治に関われる。
……
……
――非凡は非凡を知る。
の命題は偽だ。
が――
――凡人は凡人を知る。
は真である。
ゆえに――
政治史は、わかりやすい。
裏を返すと――
――政治史に疎い。
は許されぬ。
それは――
凡人として人の世で果たすべき責務の――
放棄である。
『随に――』