マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

文化史を知るのは難しい

 ――歴史

 といえば――

 普通は、

 ――政治史――政治の歴史

 である。

 

 これとは別に――

 いわゆる、

 ――文化史

 がある。

 

 ――学術の歴史

 ――芸能の歴史

 ――産業の歴史

 などが、それだ。

 

 ……

 

 ……

 

 文化史を知るのは難しい。

 

 なぜか。

 

 それは――

 

 学術や芸能、産業の歴史は――

 概して、非凡の者たちによって紡がれているからである。

 

 学術に非凡の者――

 芸能に非凡の者――

 産業に非凡の者――

 

 それらに非凡の者たちは、互いに互いを理解はせぬ。

 

 できぬからである。

 

 学術に非凡だからといって、芸能や産業にも非凡とは限らぬ。

 芸能に非凡だからといって、産業や学術にも非凡とは限らぬ。

 産業に非凡だからといって、学術や芸能にも非凡とは限らぬ。

 

 ――非凡は非凡を知る。

 という。

 

 この命題は偽である。

 

 たしかに――

 学術なら学術――

 芸能なら芸能――

 産業なら産業――

 同じ分野・領域であれば、

 ――非凡は非凡を知る。

 は真かもしれぬ。

 

 が――

 異なる分野・領域では――

 稀な例外を除き――

 互いに互いを理解はせぬ。

 

 ゆえに――

 互いに独立で活動を継ぎ、発展を遂げる。

 

 文化史は、

 ――学術の歴史

 ――芸能の歴史

 ――産業の歴史

 などが、

 ――縒(よ)り合わせの混沌

 を醸している。

 

 文化史を知るのが難しいのは、

 ――縒り合わせの混沌

 を知るのが難しいからである。

 

 『随に――』