人の世は――
大多数の凡人たちと僅少数の非凡の者たちとから成る。
いわゆる、
――英雄
と呼ばれる者たちは――
おそらくは――
その、
――非凡の者たち
の一部である。
一般に、
――歴史は英雄たちの決断で動く。
と考えられている。
よって、
――歴史は非凡な者たちが作る。
と信じられがちである。
が――
そうではない。
歴史が英雄たちの決断で動くのは事実である。
が――
英雄たちは、独り決断を下すのではない。
世の中の大多数の凡人たちの、
――声ならぬ声
を聴き取って――
決断を下す。
つまり――
非凡な者たちは、大多数の凡人たちへの奉仕者である。
よって、
――歴史は凡人たちが作る。
が正しい。
非凡な者たちは、最後の仕上げをしているに過ぎぬ。
『随に――』