マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

英傑

 知略や武勇、胆力に秀でた者を、

 ――英雄

 と呼ぶ。

 

 この言葉――

 

 昨今では使いづらい。

 

 ――雄

 が、性別の、

 ――雄(おす)

 も指すからである。

 

 ……

 

 ……

 

 ――英雄

 の字義をみれば――

 普通は男が思い浮かぶ。

 

 女は思い浮かび難い。

 

 とはいえ――

 

 むろん、

 ――英雄

 の呼称に見合う女はいる。

 

 そのような女を指し、

 ――女英雄(じょえいゆう)

 と呼ぶこともする。

 

 が――

 この言葉――

 

 最初の一字の、

 ――女

 と――

 最後の一字の、

 ――雄

 とが喧嘩をする。

 

 芳しくはない。

 

 ――雄

 に代わる一字はないか。

 

 ……

 

 ……

 

 ――傑

 がある。

 

 ――傑出

 の、

 ――傑

 である。

 

 つまり、

 ――英雄

 ではなく――

 

 ――英傑

 

 ……

 

 ……

 

 ここで、

 ――女傑

 という言葉に思い当たる。

 

 気になる。

 

 普通、

 ――男傑

 とはいわぬ。

 

 つまり、

 ――傑

 には、

 ――傑出した男

 の意が――

 暗に込められてはいないか。

 

 ……

 

 ……

 

 ここでは、

 ――傑

 を、

 ――傑出した者

 と捉えたい。

 

 それで、

 ――英傑

 が――

 いくらか使いやすくなる。

 

 少なくとも、

 ――英雄

 よりは使いやすい。

 

 『随に――』