マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

英傑の条件

 歴史は、英雄たち――もとい英傑たち――の決断で動く。

 

 が――

 英傑たちは、独り決断を下すのではない。

 

 大多数の凡人たちの、

 ――声ならぬ声

 を聴き取って――

 決断を下す。

 

 歴史を作るのは凡人たちである。

 

 歴史を知れば――

 凡人たちの総意の形成の傾向がわかる。

 

 その傾向に驚きはない。

 

 凡人たちの総意の形成は、常に平凡だからである。

 

 なるようになる――

 なるようにしかならぬ――

 

 それが歴史である。

 

 よって――

 歴史を通し――

 何か英傑たちの決断の手法が学べる――

 ということはない。

 

 学べることは――

 英傑たちが、いかにして、

 ――声ならぬ声

 に耳を傾け――

 それを聴き取っていったか――

 である。

 

 ――声ならぬ声

 を聴き取った結果――

 それを、

 ――間違っている!

 と確信をする者がいたとしよう。

 

 その者は――

 おそらく――

 大多数の、

 ――凡人たち

 の一人ではない。

 

 僅少数の、

 ――非凡の者たち

 の一人であるに違いない。

 

 そして――

 その者は、例外なく、英傑ではありえぬ。

 

 英傑は――

 大多数の、

 ――凡人たち

 の、

 ――声なき声

 を、

 ――間違っている!

 とは決して感じぬ。

 

 そのように感じぬからこそ――

 英傑でありうるのである。

 

 英傑の条件は凡人たちが握っている。

 

 『随に――』