政治は、
――平凡
を旨とする。
よって――
政治史は、わかりやすい。
裏を返すと、
――政治史に疎い。
は許されぬ。
わかりやすいことをわからぬままにしておくのは――
知的誠実さに欠ける態度だ。
とはいえ――
……
……
政治史は恐ろしい。
近代以前――
政治の多くは、殺し合いで決まった。
近代以後も――
しばしば殺し合いで決まっている。
東欧のウクライナをみれば、わかる。
中東のガザをみれば、わかる。
政治史は血(ち)塗(ぬ)られた人々の記録である。
……
……
わかりやすい政治史が血塗られるのは――
どうしたわけか。
……
……
わかりやすいから――
血塗られる。
誤解を恐れずにいえば――
殺し合いが、わかりやすいのである。
凡人たちにとって――
殺し合いは、わかりやすい。
殺し合いを避けるために――
殺し合い以外の、ありとあらゆる手を尽くす――
そういう政治は――
凡人たちには、わかりにくい。
支持をされぬ――
とはいわぬ。
支持はされる。
殺し合いを望む凡人など、いようか。
が――
殺し合いは、わかりやすい。
ゆえに――
政治は殺し合いとなる――少なくとも、近代以前は、そうであった。
『随に――』