モンゴル高原に匈奴を興した遊牧民たちにとっては、中国大陸よりもロシア平原のほうが、心理的に遥かに近くに感じられた――
と考えられる。
匈奴が人類史に登場をするのは、紀元前4世紀頃――
それから時代を 500 年ほど遡った紀元前9世紀頃――
人類史上、最古の遊牧民族が出現をした。
日本語で、
――キンメリア人
と呼ばれている。
その出現の地が、
――ロシア平原
であった。
より正確には、
である。
その後、紀元前7世紀~前3世紀において――
ロシア平原の主(あるじ)は、他の遊牧民族に代わった。
日本語で、
――スキタイ人
と呼ばれている。
このスキタイ人の文化に――
匈奴の文化は、よく似ているという。
つまり――
紀元前4世紀~前3世紀において――
ユーラシア大平原の西部と東部とで共存をしていた。
年代をみれば――
人類史上、スキタイ人のほうが先達である。
よって――
普通に考えれば、スキタイ人の文化が東方へ伝わり、匈奴の文化となった。
が――
異説を唱える学者もあるらしい。
太古の昔――紀元前7世紀よりも遥かな昔――
ユーラシア大草原の中部の辺りに――今日のシベリアの辺りに――実は未知の遊牧民族の国家が興っていて――
という説である。
何とも夢のある説である。
それは、ともかくとして――
紀元前のユーラシア大草原の文化は――
その東部と西部とで驚くほど均質であった可能性がある――
ということである。
『随に――』