人事は難しい。
今回の防衛省の騒動を見聞し、思いを新たにした。
報道によれば――
着任後、間もない小池大臣が、在任4年を数える守屋事務次官を9月1日付けで退任させる決断を下したが、当の守屋事務次官が猛反発――
拠り所にした理由は、後任が警察庁出身の西川官房長であったことらしい。
守屋氏としては、生え抜きの後輩を自身の後任にあてたかったようである。
本来、人事権は大臣が掌握している。
たとえ、事務方トップの事務次官といえども、
――大人しく、やめよ!
という大臣に、
――No!
といってはならぬのがルールである。
にもかかわらず、「No!」といい、それが通ってしまった背景には、西川氏の人事が大きな支持を得られなかったことがあるようだ。
塩崎官房長官の守屋事務次官を擁護する発言がメディアに流れたことから、事態は泥沼化を呈した。
結局、安倍首相が介入し、後任に第三者をあてる方向で決着がはかられた。
小池氏と塩崎氏とは元来、犬猿の仲であったらしい。
が、塩崎氏とて、私怨で守屋氏を擁護したわけではあるまい。
小池氏の人事に反発した人々の思いが、あのような発言を後押ししたはずである。
人事の要点は2点ある。
1)本人が力量を備えている
2)周囲の人々が納得できる
人事は、あくまで人間社会でのことである。
1)だけでは割り切れない。
1)と 2)とのバランスこそが、人事のキモである。
今回の小池氏の人事が、どうであったのか――
僕には判断できない。
もしかしたら、1)が十分でなかったのかもしれない。
仮に1)が十分であったなら、2)で足元をすくわれたことになる。
人事のミスとしては、よくあることだ。