組織で培われたノウハウというのは――
強固にユニークであることが多いようです。
似たようなノウハウが、別個の組織で、全く独立に培われたという話を、ほとんどききません。
なぜでしょうか。
おそらくは――
組織を構成する人員の顔ぶれが、個々の組織によって、全く異なるがゆえに――
組織の抱える問題というのは、つねにユニークであるからです。
問題がユニークであれば、その問題への対応の仕方もユニークになります。
問題への対応の仕方は、問題の規模や量、性質、要因などによって、根強く規定されるからです。
対応の仕方がユニークであれば、培われるノウハウもユニークになるでしょう。
ノウハウとは、対応の仕方が洗練され、標準化された結果として、培われるものだからです。
ただし――
まれに組織横断的に有効なノウハウというものがありまして――
例えば――
ある組織Aで培われたノウハウが、別の組織Bでも有効に機能するということがあります。
組織Aも組織Bも、たまたま似たような問題で悩んでいたりすれば――
たしかに、そうなりえます。
とはいえ――
この場合も、組織Aで培われたノウハウが組織Bへと伝えられることがなければ――
組織Bは、おそらくは独自にノウハウを培うことでしょう。
そのノウハウは、組織Aで培われたノウハウとは大きく異なるに違いありません。
よって、いかに組織横断的に有効なノウハウといえども――
月日が経つにつれて、個々の組織が抱える問題の変遷によって、強く影響を受けます。
たぶん1年も経てば、個々の組織にユニークなノウハウへと変貌を遂げているでしょう。
個々の組織が抱える問題というのは、それくらいに独自性が強いということです。