あまりにも能弁だと――
かえって説得力が弱まり、好感度は下がるものだと、感じ入りました。
あるお店の軒先で、店長と思しき若い男性と、その男性と同年輩でスーツ姿の男性とが、立ち話をしていました。
スーツ姿の男性は、どうやらアルバイトの募集に応じてやってきたようでした。
この男性が、えらく能弁なのですよ。
応募動機や採用になった場合の勤務条件などについて、まさに、
――立て板に水
がごとき流暢さで、説明をしている――
ところが――
その説明は、店長と思しき男性の心には、そんなには響いていないようなのですね。
相槌の打ち方とか質問の仕方、言葉使いや口調などから、そう感じました。
(説明が、なめらかすぎるんだよね~)
とは、僕の結論です。
もう少し言いよどんだり、間をあけたりすれば、ぜんぜん違う印象を与えられるのに……。
その軒先面接を――
僕は最後まで聞いていたわけではないのですが――
たぶん、採用はされなかったんじゃないでしょうか。