マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

“感情の横流し”に要注意

 人の感情は、小刻みに揺れ動きますから――

 一時の感情を重くみすぎると――
 しばしば思考や言動を誤ります。

 感情をみるときは――
 その大まかな動態を均(なら)してみることが必要です。

 例えば、直近の24時間や1週間、あるいは、1か月や1年などを通して均し――
 その変化の傾向をつかむ――

 そして――
 その傾向を、思考や言動に緩やかに反映させていく――

 それが――
 感情の穏当な活かし方です。

 ……

 ……

 一方――
 感情の不穏当な活かし方というのもあって――

 それは――
 一時の感情を重くみて――
 その一つひとつの変化を、思考や言動にきつく反映させていく方法です。

 この方法では――
 思考や言動は、感情と同じように、小刻みに揺れ動きます。

 そのように思考や言動が小刻みに揺れ動くさまを――
 昨今では、

 ――ブレる

 と称して――
 手厳しい誹(そし)り言葉の一つとなっています。

 この「ブレる」の誹りを端的に免れるには―― 
 感情の動態が思考の過程や言動の表出に直に伝播することがないように――
 例えば、感情の“周辺”に適当な“緩衝材”でも詰めておくことが効果的でしょう。

 それと同じような効果が――
 感情の動態を均してみることによって、期待できます。

 ところで――

 ……

 ……

 世の中には――
 感情の動態を思考の過程や言動の表出に直に伝播させることが上手な人たち――
 がいます。

 そうした人たちは――
 もちろん、自分の心の中で、一次的に――
 そうした伝播を精巧に完遂させているのですが――

 なかには――
 どうしたわけか、他者の心の中で、二次的に――
 そうした伝播を巧妙に発生させている人もいます。

 どういうことか――

 ……

 ……

 まず、自分の感情を、自分の思考や言動へと直接的に反映させる――
 次いで、それら自分の思考や言動を、他者の感情へと効果的に作用させる――
 そして、最終的に、自分の感情を、他者の思考や言動へと間接的に反映させる――

 こうした一連の手続きに長けている人たちが――
 この世には、一定数はいるのです。

 こうした行為は――

 自分の感情を――
 自分の思考や言動へ直接的に反映させるだけでなく――
 他者の思考や言動へ間接的ながら反映させることですから――

 悪くいえば、

 ――感情の横流し

 と呼べそうな行為です。

 ……

 ……

 この“横流し”が善意に基づくのなら――
 まったく問題はありません。

 むしろ、望ましいことです。

 が――
 悪意に基づく場合は――
 十分に注意しなければなりません。

 ……

 ……

 ちなみに――
 善意に基づく“感情の横流し”の代表例は、

 ――芸術活動

 ですが――

 悪意に基づく“感情の横流し”の代表例が何であるか――
 皆さん、おわかりになりますか。

 ……

 ……

 ――詐欺

 です。