――数学
という言葉は――
勉強の教科名としても学術の分野名としても――
なかなかに使いづらい言葉だと感じます。
おそらくは――
英語の「mathematics」ないしドイツ語の「Mathematik」の訳語であったのだろうと想像しますが――
これら言葉には、共通の起源とみなされるギリシャ語が存在しているようで――
その言葉の意味は、
――知識、勉強、学習
だそうです。
つまり、「mathematics」も「Mathematik」も、語源的には、「数学」――すなわち、「数についての学問」――というニュアンスからは、かなり遠いのですね。
どちらかというと、
――学科
あるいは、
――教科
というニュアンスに近い――
……
……
もちろん――
だからといって、「mathematics」や「Mathematik」を「学科」ないし「教科」と訳すべきだ、とは――
決して述べません――現況では、そのような意味で用いることは、まずありませんので――
が――
そうした語源的な経緯を踏まえて訳せば、
――理(ことわり)の学問
となりましょうか。
……
……
僕は、「mathematics」や「Mathematik」は、
――数理
と訳するのがよいと思っています――「物理」や「地理」、「生理」、「心理」に対して、「数理」です。
――数学
では、ちょっと無理がある――
と思うのです。
昨今では、
――「数学」は誤訳である。
と明瞭に主張する人たちもいるそうですが――
僕も、
(たぶん誤訳……)
と思っています。