――猥褻(わいせつ)に関心がある。
というと、
――この人、頭、おかしいんじゃないか。
と思われることがあります。
たぶん――
僕も思われています(笑
……
……
が――
たぶん(!)――
それは誤解です。
……
……
もし、
――猥褻罪に関心がある。
といえば――
それは――
たしかに、
――この人、大丈夫か?
でしょうが――
僕がいっているのは――
あくまで、
――猥褻に関心がある。
です。
「猥褻」と「猥褻罪」とは別物です。
その違いを――
きのうまでの『道草日記』に照らして説明すれば――
「猥褻」とは、
――生殖欲求に関わる道徳に背いているとの感覚が、色気の感覚との相乗効果によって強められること
であり――
「猥褻罪」とは、
――猥褻の程度が法に触れるくらいに著しいこと、あるいは、猥褻の性質が現実的・非虚構的であること
です。
いいかえれば、
――猥褻に関わる違法性が猥褻罪であり、猥褻罪の動機となりうる感覚が猥褻である。
ということですね。
つまり――
猥褻罪は必ず猥褻を伴いますが――
猥褻は必ずしも猥褻罪を伴いません。
数学らしくいえば、
――「猥褻」が成り立つための十分条件が「猥褻罪」であり、「猥褻罪」が成り立つための必要条件が「猥褻」である。
となります。
あるいは、
――猥褻と猥褻罪との違いは、だいたい道徳と法律との違いに相当する。
といっても――
よいかもしれません。