マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

元号は現象か

 ――元号の本質は、国家による時間支配である。

 という考えについて――
 きのうの『道草日記』で述べました。

 なぜ――
 そのような考えになるのか――

 きょうは――
 やや詳しく述べましょう。

 ……

 ……

 ――「本質」の対義語は「現象」である。

 といわれますね。

 これは――
 一般には、言葉の定義の問題とみてよいでしょう。

 たぶん――
 本来、「現象」は、

 ――人が感知しうる全ての事象

 くらいの意味の言葉なのですが――
 これを、

 ――本質から派生する事象、あるいは本質に付随する事象

 という意味で定義をし直すと、

 ――「本質」の対義語は「現象」である。

 ということができます。

 この定義のもとで――
 以下、

 ――元号の本質とは何か。

 を考えてみましょう。

 ……

 ……

 もし――
 元号に本質があるならば――
 元号は現象であるはずですね。

 定義の通りです。

 元号は――
 元号の本質から派生する事象、あるいは元号の本質に付随する事象であるはずです。

 ここで疑問に思うのは、

 ――元号は、本当に現象なのか。

 ということです。

 (いや、違うんじゃない?)
 というのが――
 僕の率直な答えです。

 (元号を現象とみなすことには、ちょっと無理がある)
 と――
 僕は思います。

 が――
 例えば、

 ――元号現象

 という事象なら――
 何となく想定できそうです。

 たぶん――
 元号の改変から派生する社会現象であったり、元号の慣習に付随する社会現象のことです。

 ……

 ……

 今、

 ――社会現象

 という言葉を用いました。

 ちょっと――
 ここで脇道に、それてみます。

 ――社会現象の本質は何か。

 を考えてみましょう。

 それは、

 ――社会

 である、と――
 僕は思います。

 では――
 自然現象の本質は何か――

 ……

 ……

 ――自然

 でしょう。

 では――
 心霊現象の本質は?

 ……

 ……

 ――心霊

 でしょう。

 よって、

 ――“元号現象”の本質

 は、

 ――元号

 といえそうです。

 では、

 ――元号の本質

 は何か――

 ……

 ……

 その答えは――
 以下の通りです。

 ――元号は、少なくとも日常的直観に基づけば現象ではないが、それでも、あえて元号を現象とみなすなら、その現象に対応する本質こそが、元号の本質である。

 と――

 ……

 ……

 以上の答えを踏まえて――
 逆算的に考えますと、

 ――元号の本質は、国家による時間支配である。

 という考えは、

 ――元号とは、“国家による時間支配”という社会現象を派生させる何か、あるいは、“国家による時間支配”という社会現象を付随させる何か、とみなしうる。

 との見解に基づいていることになります。

 ……

 ……

 こうした思考を――

 僕は――
 それなりに、
 (面白い)
 とは思うのですが――

 (しょせんは言葉遊びだよなぁ)
 とも思います。

 ですから――
 本当は、

 ――本質

 という言葉や概念は――
 むやみに持ち出すべきではないのです――本当は――