――粋(いき)
の性差を考える場合は、「粋」が「男の関心事」であることに留意をした上で、
1)男性が男性に感じとる「粋」
2)男性が女性に感じとる「粋」
に分けて考えて――
これらのうち、“男性が男性に感じとる「粋」” については、
1-1)男色の観点から捉えられるべき「粋」
1-2)女性の主観を介在させる間主観的な「粋」
に分けて考えればよい――
ということを、きのうまでの『道草日記』で述べてきました。
以下――
具体例をみていきましょう。
まず、1-1)についていうと――
これは、男色がわからない者には決してわかりません――その具体例を挙げることさえ、できない――
幸か不幸か、僕は男色がわかりませんので――
あえて、1-1)の具体例を挙げることはしません。
が――
1つ述べ添えておきたいことがあります。
それは、
――女性の色気を仕立て上げている男性との色事は男色ではありえない。
ということです。
日本に限らず、古今東西、男色が絶えたことはなかったようですが、男性同士が男性として色事を成す男色と、どちらかが女性に偽装して色事を成す男色とでは、意味合いが異なります。
日本の江戸期の陰間(かげま)などは、女装が鍵を握っていたようですので、その色事を男色とみなすのは、おそらくは適当でありません。
次に――
1-2)女性の主観を介在させる間主観的な「粋」について――
この「粋」の具体例としては、少し曖昧になりますが――
例えば、男性が他の男性をみて、
――こいつは女にモテる。
と深く感じ入るときの「粋」が挙げられます。
もう少し詳しくいうと、
――俺は女ではないから本当のところはわからないが、もし俺が女だったら惚れてしまうかもしれん。
と思うような「粋」です。
そういう男性が実際に女性から好感をもたれるとは限らないのですが、本質的には、男性の視点でみて「こいつは女にモテる」と思わず唸りたくなるような魅力が有るか無いかが大切です。
そのような男性は、女性の視点からはともかく、男性の視点からみたら、間違いなく魅力的であり、それは少なくとも、1-1)の「粋」とは無縁の魅力でしょう。
あえて日本の江戸期に具体例を見出すとしたら――
例えば、いわゆる二枚目の歌舞伎役者に対して男性の贔屓筋たちが認めていた魅力の中核には、この種の「粋」があったに違いありません。
2)男性が女性に感じとる「粋」については、あす――