“感覚の痕跡”が、痕跡として残されず、感覚に近い形で残されることが、
――幻覚
の病因ではないか、と――
おとといの『道草日記』で述べました。
このように、
――幻覚の病理
から、
――感覚の生理
を考えるような発想は――
ヒトの生命科学・生物学では、それなりに有効であろう、と――
僕は考えています。
一般に――
生命科学・生物学では、基本的には、生命や生物の体を用いた実験をしなければ、直接的なことは何もわかりません。
よって――
ヒトの生命科学・生物学では、人体実験をしなければならない――
が――
人体実験は倫理的に難しい問題を孕んでいますから、実施は――不可能ではありませんが――困難です。
そこで、
――病理から生理へ
の発想が採られます。
つまり、
――病気の仕組みを詳しく観察することで、病気になる前の正常な体の仕組みを詳しく想像する。
という発想です。
この発想は、病気で苦しんでいる人たちに朗報をもたらすわけではないので――
社会的には、あまり注目をされませんし、歓迎もされませんが――
ヒトの生命科学・生物学を発展させる上では不可欠な発想であろうと思います。