マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

まことに浅慮――

 ――暗黒物質(dark matter)

 や、

 ――暗黒エネルギー(dark energy)

 のことを考えていると――

 今から30年くらい前を思い出します。

 

 当時――

 僕は高校生でした。

 

 ――暗黒エネルギー

 の観念は、今日の形としては、まったく知られていなく――

 また、

 ――暗黒物質

 は、今日ほどに関心を集めることはなく、少なくとも、その一般的な知名度は殆どないに等しかったはずです。

 

 そんな僕は、

 (宇宙の研究は、もはや完成しつつある)

 と感じていました。

 

 (これからは、宇宙の時代じゃない。生命だ。知性だ)

 と思ったのです。

 

 その数年後――

 ある免疫学者の方とお話をする機会があり――

 この思いを語ったところ、

 ――私も20年くらい前にそう思ったよ。

 とのご同意を得ました。

 

 その方は、僕より20歳ほど年上で――

 高校生の頃、宇宙の研究をするか生命の研究をするかで迷われたそうですが――

 結局、生命の研究を選ばれたわけです。

 

 その理由が、

 ――今から宇宙の研究に参入をしたところで、やれることは殆ど残っていない。

 との直感でした。

 

 心強く思ったものです。

 

 それから数年後に、

 ――暗黒エネルギー

 の言葉が作られ――

 さらに、その十数年後に、

 ――この宇宙に占める全エネルギー量の 70 %弱が暗黒エネルギーである。

 との知見がもたらされました。

 

 これは驚きでした。

 

 残りの 30 %弱が、

 ――暗黒物質

 であり――

 さらに残りの 3 %強が、

 ――通常の物質

 である――

 というのです。

 

 僕らが普通に「物質」と呼ぶ物質は“通常の物質”であり―― 

 それは、この宇宙に占める全エネルギー量の 3 %強でしかない――

 

 多くの物理学者たちが、強い衝撃を受けたと同時に、

 ――宇宙の研究には、まだ膨大なやり残しがある。

 と考えて奮い立ったといわれています。

 

 ……

 

 ……

 

 ――宇宙の研究は、もはや完成しつつある。

 とか、

 ――これからは、宇宙の時代じゃない。生命だ。知性だ。

 とか――

 

 ……

 

 ……

 

 (まことに浅慮――)

 と、いうほかはありません。