今回のロシア政府によるウクライナ侵攻について、
――ロシア政府の最高指導者が、より深く参考にするべきは、クラウゼヴィッツの『戦争論』ではなく、『孫子』の兵法であった。
ということを――
きのうの『道草日記』で述べました。
あえて『孫子』の要点を1つに絞るとしたら、
――百戦百勝は善の善なるものに非ず。戦わずして人の兵を屈するは善の善なるものなり。
を挙げます。
――百回の戦いに百回とも勝つのが最善ではない。戦いによらずに屈服をさせるのが最善である。
くらいの意味です。
要するに、
――常勝ではなく、不戦勝を狙え。
ということですね。
その理由として、
――兵は国の大事にして、死生の地、存亡の地なり。察せざるべからず。
が挙げられるでしょう。
――戦争は国の一大事であり、国民の生死や国家の存亡がかかる。その点を察しないことがあってはならない。
くらいの意味です。
要するに、
――むやみに戦争を起こすな。
ということです。
僕が『孫子』の要点を知ったのは、小学生の頃に『三国志演義』の児童書を読んでいたときですが――
戦争の仕方を説く書物なのに、
――常勝ではなく、不戦勝を狙え。
とか、
――むやみに戦争を起こすな。
とかいった指摘がなされていることに心の底から驚きました。
(これが戦争のプロの発想なんだ)
と思ったのです。
以来――
戦争の玄人は、
――不戦
や、
――非戦
を基本に据える、と――
考えております。
やたらと戦いたがる者は戦争の素人である、と――
……
……
現在のロシア政府の最高指導者は――
どうやら、
――不戦
や、
――非戦
を基本に据えるのではなく、
――常勝
や、
――必勝
を目指しているようです。
戦争の素人なのでしょうね。