マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

その予測を単なる夢想以上の期待にするには

 ――仮想現実(virtual reality)の戦争教育が、この世界から戦争をなくすかもしれない。

 ということを、きのうの『道草日記』で述べました。

 

 また――

 それは、

 ――夢想

 かもしれない、とも――

 

 ……

 

 ……

 

 ――仮想現実の戦争教育が、この世界から戦争をなくすかもしれない。

 という予測が、なぜ夢想かもしれないのか、というと――

 

 仮想現実によって戦争を疑似的に知った人たちの全員が――

 その後、戦争を嫌がるようになる、とは限らないからです。

 

 そのようにして戦争を知った人たちの中には――

 仮想現実で戦争を疑似的に知ってしまったがゆえに――

 かえって戦争に強烈な関心を抱くようになる人が出てくるかもしれません。

 

 ――あの疑似体験が忘れられない。もう一度、体験をしてみたい。今度は疑似ではなく、実際に体験をしてみたい。

 と強く望むようになる人が絶対に存在をしない――

 とは、いいきれないのです。

 

 そういう人が、たとえ僅かな割合であっても、確実に存在をしていれば――

 疑似体験の戦争教育は、かえって戦争の勃発を促す結果になるでしょう。

 

 まさに本末転倒です。

 

 ――仮想現実の戦争教育が、この世界から戦争をなくすかもしれない。

 との予測を単なる夢想以上の期待にするには――

 どうしたら、よいでしょうか。

 

 おそらく――

 大規模で長期間に及ぶ社会実験が必要です。

 

 無作為の抽出で指名をされた人たちを2つの集団に無作為に割り当てて――

 片方の集団には仮想現実の戦争教育を行い――

 もう片方の集団には仮想現実を用いた他の教育を行う――例えば、スポーツ教育を行う――

 

 そして――

 双方の集団に生じる好影響と悪影響とを比べるのです。

 

 もちろん――

 統計的に確かな有意差が生じうる人数の被験者を揃え、かつ、少なくとも 30 年くらいの長きにわたって詳細な観察を続けていく必要があります。

 

 とんでもない労力や時間を要する社会実験です。

 

 が――

 もし、この世界から戦争をなくせる可能性が、少なくとも無視はできないくらいには認められるのなら――

 

 (あえて行う意義はある)

 と僕は考えます。