――“再起可能の失敗”は真の意味での失敗ではない。真の意味での失敗は、常に“再起不能の失敗”である。そう考えてはどうか。
という提案を、きのうの『道草日記』で示しました。
あらためて述べますと、
――再起可能の失敗
とは、
――誰かの命が失われるわけではない失敗
であり、
――再起不能の失敗
とは、
――誰かの命が失われる失敗
であります。
これら２つの失敗の混同が最もよくない、と――
僕は思っているのですが――
……
……
そもそも、
――それら２つの失敗は本当に区別ができるのか。
と訝る向きがあるでしょう。
例えば――
次のような指摘が考えられます。
――「会社を興して会社を潰すのも、結婚をして離婚をするのも、誰かの命が失われるわけではなく、“再起不能の失敗”ではない」というが、潰した会社の従業員が路頭に迷って自殺をするかもしれず、また、離婚をしたことで人生に絶望をして自殺を図るかもしれないではないか。
と――
こうした指摘は――
相異なる２つの問題を切り分けていない点で非合理的です。
例えば、興した会社を潰す問題と、潰した会社の従業員を路頭に迷わせて自殺に追い込む問題とは、直接の関連がありません。
結婚をして離婚をする問題と、離婚をしたことで人生に絶望をして自殺を図る問題とも、やはり直接の関連はありません。
興した会社を潰しても、従業員を路頭に迷わせない手立てを講じればよく、結婚をして離婚をしても、人生に絶望をしない手立てを講じればよいのです。
つまり、
――興した会社を潰す失敗
や、
――結婚をして離婚をする失敗
は、
――再起可能の失敗
である一方で、
――潰した会社の従業員を路頭に迷わせて自殺に追い込む失敗
や、
――離婚をしたことで人生に絶望をして自殺を図る失敗
は、
――再起不能の失敗
である――
ということです。
つまり、
――誰かを路頭に迷わせて自殺に追い込むかもしれから会社は興さない。
や、
――人生に絶望をして自殺を図るかもしれないから結婚はしない。
という発想は、
――失敗の捉え方を完全に間違えている。
といってよいでしょう。
