マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

陰陽五行思想も四元素説も――

 陰陽(おんみょう)道から呪術や占術の領域を除いた部分――自然哲学的な部分――つまり、陰陽(いんよう)五行(ごぎょう)思想――について考えるときに――

 僕は、いつも、

 ――自然は単純な仕組みの複雑な組み合わせなのか。

 とか、

 ――自然は実は単純な仕組みの単純な組み合わせではないのか。

 とかいったことをつい考えてしまう――

 ということを、きのうの『道草日記』で述べました。

 

 現代自然科学では、おそらく、

 ――自然は単純な仕組みの複雑な組み合わせである。

 ということが前提になっています。

 

 もちろん――

 この前提が自然科学の全ての領域で等しく受容をされているわけではなくて――

 

 例えば――

 物理学や化学の領域では、どちらかというと、

 ――単純な仕組み

 のほうに焦点が当てられ――

 生物学や地学の領域では、どちらかというと、

 ――複雑な組み合わせ

 のほうに焦点が当てられます。

 

 が――

 いずれの領域でも、

 ――自然は単純な仕組みの複雑な組み合わせ――

 という自然観が共有をされていることは事実でしょう。

 

 この自然観は――

 不思議なことに、古今東西で大差がありません。

 

 陰陽五行思想も、基本的には、

 ――自然は単純な仕組みの複雑な組み合わせ――

 の自然観に依っているといってよいでしょう。

 

 ――この世界では、木・火・土・金・水の5つの要素が、陰陽の2つの属性を備えつつ、互いに調和を保った上で、影響を及ぼし合い、循環をしている。

 という考え方は、自然界の事物を5つの要素や2つの属性だけで説こうとしている点で、明らかに、

 ――単純な仕組み

 が前提になっています。

 

 そして――

 それら5つの要素や2つの属性が、

 ――複雑に組み合わさって――

 自然界が存在をしていると主張をしたのです。

 

 その「組み合わせ」は確かに「複雑」であるようで――

 そのことを雄弁に物語るかのように、その説明には多様な変異があります。

 

 ――説明をする者によって説明の内容が多少なりとも異なってしまうくらいに複雑である。

 ということです。

 

 陰陽五行思想は東洋で生まれました。

 

 これに比肩をしうる思想を西洋に求めるなら――

 それは、

 ――四元素説

 でしょう。

 

 これは、簡単にいうと、

 ――この世界では、火・風・水・土の4つの要素が万物を成していて、これら要素は熱・冷・湿・乾の4つの属性が混じり合うことで生成をしている。

 という考え方です。

 

 この考え方も、自然界の事物を4つの要素や4つの属性だけで説こうとしている点で、明らかに、

 ――単純な仕組み

 が前提になっています。

 

 そして――

 それら4つの要素や4つの属性が、

 ――複雑に組み合わさって――

 自然界が存在をしていると主張をしていました。

 

 その「組み合わせ」が「複雑」である様子も――

 陰陽五行思想と同様です。

 

 その説明には陰陽五行思想ほどの多様な変異はないようですが、

 ――どうしても説明が抽象的かつ不明瞭な内容になってしまうくらいに複雑である。

 という点は疑いようがありません。