人工知能が曖昧な回答を差し出せない理由は――
人工知能が、人によって定められた、
――プログラム(program)
という名前の指令体系に従って働いているからである――
ということを、きのうの『道草日記』で述べました。
この理由は――
そのまま人工知能が様々な情報を受け入れられない理由へと繋がっていきます。
人工知能の場合には――
様々な情報を受け入れる際に――
その情報の受け入れ方は、人が定めた指令体系に沿っています。
人工知能が囲碁や将棋の棋譜に関する情報を猛烈な速さで際限なく受け入れられるのは、そのようなことを可能とする指令体系を人が定めているからです。
合唱や演奏の譜面に関する情報を受け入れる際には――
囲碁や将棋の棋譜に関する情報を受け入れる際とは別の指令体系が必要になります。
当然ながら――
絵画や彫刻の手法に関する情報を受け入れる際にも――
囲碁や将棋の棋譜に関する情報や合唱や演奏の譜面に関する情報を受け入れる際とは別の指令体系が必要になります。
このように――
様々な情報を受け入れるには、様々な指令体系が必要です。
そして――
未知の情報を受け入れるには、新規の指令体系が必要です。
よって――
人工知能が何か未知の情報を受け入れようと思ったら――
その都度、それに見合った新規の指令体系を人に定めてもらう必要があります。
こんなことを繰り返していたら――
人工知能が様々な情報を受け入れられるようになる日は永遠に来ないことは明らかです。
では――
人工知能が様々な情報を受け入れることは永遠に不可能なのか――
……
……
そうかもしれません。
が――
そうではないかもしれない――
……
……
例えば――
合唱や演奏の譜面に関する情報も――
絵画や彫刻の手法に関する情報も――
その他、ありとあらゆる情報を受け入れることができる指令体系が少なくとも1つ定められれば――
ひょっとすると、人工知能も――
人の知能と同じように――
様々な情報を受け入れられるようになるかもしれません。
そんな指令体系――つまり、プログラム――に多少なりとも実現の可能性があるのかどうか、コンピュータ・サイエンス(computer science)の専門家ではない僕には雲を掴むような話なのですが――
そのような指令体系が、本当に実現をするとしたら――
人工知能は人の知能へ大幅に近づくことでしょう。