――無意識
は、体のことを心に伝えている――
と、きのう、のべました。
もう少し、くわしく説明をしましょう。
体には、
――調子の良い・悪い
がありますね。
どこにも痛(いた)いところや苦しいところがなく、元気いっぱいに体を動かせそうなときは、体の調子が良いときです。
どこかに痛いところや苦しいところがあって、体をちょっとだけ動かすのも大変そうなときは、体の調子が悪いときです。
ある物事について――
それを体の調子が良いときに初めて見たり聞いたりした場合と、体の調子が悪いときに初めて見たり聞いたりした場合とでは――
その物事に対する好き・嫌いが変わってくると考えられます。
つまり――
体の調子が良いときに初めて知ったことは、良い思い出として残りやすく――
体の調子が悪いときに初めて知ったことは、悪い思い出として残りやすい――
ということです。
人は――
良い思い出に関わる物事は、そのあと好きになりますし――
悪い思い出に関わる物事は、そのあと嫌いになります。
体の調子というのは、体のことにほかなりません。
それが心へ伝わって、物事を好きになったり嫌いになったりする――
そのときに――
それを伝えているのが、
――無意識
なのです。
もう一つ、びっくりするような例を示(しめ)しましょう。
高いところを苦手にしている人が――
つり橋をわたっているとします。
つり橋の下は深い谷です。
落ちてしまったら、まず助かりません。
高いところが苦手な人は、もうドキドキです。
そんな、つり橋の上で――
その人は、ある人と出会いました。
すると――
その人は、どういうわけか――
そのつり橋で出会った人のことが好きになってしまう――
つり橋の上にいたからドキドキしていただけのはずなのに――
そこで、その人に出会ったからドキドキしていたのだと、思いこんでしまうからであろう――
と考えられます。
――ドキドキ
というのは体の一部――心臓など――の働きの変化です。
つまり――
体のことです。
それが心へと伝わっていく――
そのときに――
それを伝えているのが、
――無意識
なのです。
『10 歳の頃の貴方へ――』