マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

ABC予想:数学を科学の世界に繋ぎとめている金具のようなものの1つ

 ――数学は本当に科学(かがく)か。

 という大問題に決着を付けるかもしれない理論(りろん)として、

 ――宇宙際(うちゅうさい)タイヒミュラー理論

 というものがある――

 と、きのう、のべました。

 

 この理論は――

 日本の数学者によって、2012年に発表をされました。

 

 ――宇宙際タイヒミュラー理論を用いれば、ABC予想が正しいことを示(しめ)せる。

 というのが――

 その発表のポイントの1つでした。

 

 ――ABC予想

 は、

 ――エービーシーよそう

 と読みます。

 

 この、

 ――ABC予想

 は――

 今も2012年以前も、数学の世界では大変な関心を集めていて――

 もし、この予想が正しければ、数学の他の大問題が幾(いく)つも解(と)けてしまう――

 という、とても重要な予想であったのですね。

 

 数学での、

 ――予想

 は――

 10月18日に、のべた通り――

 ぼくらが日常会話で使う「予想」とは違(ちが)って――

 いわゆる自然科学や社会科学での、

 ――仮説(かせつ)――仮(かり)の説明――

 に相当をします。

 

 よって、

 ――ABC予想

 は、数学を科学の世界に繋(つな)ぎとめている金具のようなものの1つです。

 

 ――ABC予想

 の内容を以下に示(しめ)します。

 

   *

 

 1 以上の整数 a、b、c が、

  a + b = c

をみたしている――

 a、b、c は、たがいに 1 以外の公約数をもっていない――

 ここで、a × b × c という整数を考える――整数 a × b × c は 2 以上である――

 整数 a × b × c の約数である整数のうち、その整数自身および 1 以外に約数をもたない整数を1つずつ取りだし、それらをすべて掛(か)け合わせてできる整数を d とする――

 このときに、どんな数 ε に対しても、

  c > d Λ( 1 + ε )

 をみたす a、b、c の組み合わせは、無限(むげん)には存在(そんざい)をしないであろう――

 

   *

 

 こうして記すと――

 けっこう難(むずか)しい感じになりますね。

 

 くわしい説明は、あす行うことにして――

 

 きょうのところは、

 ――ABC予想

 が、なぜ「ABC予想」と呼(よ)ばれているのかだけをのべましょう。

 

 それは、

 ――ABC予想

 が、1 以上の整数 a、b、c についての予想であるからです。

 

 『10 歳の頃の貴方へ――』