マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

ABC予想(1)

 ――ABC予想

 は、数学を科学(かがく)の世界に繋(つな)ぎとめている金具のようなものの1つである――

 と、きのう、のべました。

 

 また、

 ――ABC予想

 の内容(ないよう)を以下の通りに示(しめ)しました。

 

   *

 

 1 以上の整数 a、b、c が、

  a + b = c

をみたしている――

 a、b、c は、たがいに 1 以外の公約数をもっていない――

 ここで、a × b × c という整数を考える――整数 a × b × c は 2 以上である――

 整数 a × b × c の約数である整数のうち、その整数自身および 1 以外に約数をもたない整数を1つずつ取りだし、それらをすべて掛(か)け合わせてできる整数を d とする――

 このときに、どんな数 ε に対しても、

  c > d Λ( 1 + ε )

 をみたす a、b、c の組み合わせは、無限(むげん)には存在(そんざい)をしないであろう――

 

   *

 

 一つひとつ説明をしていきます。

 

 ――たがいに 1 以外の公約数をもっていない。

 というのは――

 例えば、

  a = 2、b = 3

 とか、

  a = 2、b = 5

 とかいった組み合わせのことです。

 

  a = 2、b = 4

 とか、

  a = 2、b = 6

 とかいった組み合わせは、1 以外の公約数として 2 をもっていますから――

 当てはまりません。

 

 ――たがいに 1 以外の公約数をもっていない。

 ということを、

 ――たがいに素(そ)である。

 ともいいます。

 

 ――ABC予想

 において、1 以上の整数 a、b、c は互いに素であるのです。

 

 次に、

 ――整数 a × b × c の約数である整数のうち、その整数自身および 1 以外に約数をもたない整数を1つずつ取りだし、それらをすべて掛(か)け合わせてできる整数を d とする。

 の部分の説明をしましょう。

 

 例えば、

  a = 2、b = 3

 ならば、

  c = 5

 です。

 

 よって、

  a × b × c = 2 × 3 × 5

 です。

 

 ここで、a × b × c の約数は、

  1、2、3、5、

  2 × 3、2 × 5、3 × 5、

  2 × 3 × 5

 です。

 

 これら整数のうち、その整数自身および 1 以外に約数をもたない整数を1つずつ取りだすと、

  2、3、5

 となります。

 

 これらを掛け合わせると整数 d ができるので、

  d = 2 × 3 × 5

 です。

 

 あるいは――

 例えば、

  a = 2、b = 4

 ならば、

  c = 6

 です。

 

 よって、

  a × b × c = 2 × 4 × 6

 です。

 

 ここで、a × b × c の約数は、

  a × b × c

  = 2 × 4 × 6

  = 2 ×(2 × 2)×(2 × 3)

  = 2 × 2 × 2 × 2 × 3

 であることに注意をすると、

  1、2、3、

  2 × 2、2 × 3、

  2 × 2 × 2、2 × 2 × 3、

  2 × 2 × 2 × 2、2 × 2 × 2 × 3

  2 × 2 × 2 × 2 × 3

 です。

 

 これら整数のうち、その整数自身および 1 以外に約数をもたない整数を1つずつ取りだすと、

  2、3

 となります。

 

 これらを掛け合わせると整数 d ができるので、

  d = 2 × 3

 です。

 

 ……

 

 ……

 

 こうやって説明をしていくと――

 けっこう大変ですね。

 

 つづきは、あす――(笑

 

 『10 歳の頃の貴方へ――』