マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

ABC予想(2)

 ――ABC予想

 について――

 説明をしていました。

 

   *

 

 1 以上の整数 a、b、c が、

  a + b = c

をみたしている――

 a、b、c は、たがいに 1 以外の公約数をもっていない――

 ここで、a × b × c という整数を考える――整数 a × b × c は 2 以上である――

 整数 a × b × c の約数である整数のうち、その整数自身および 1 以外に約数をもたない整数を1つずつ取りだし、それらをすべて掛(か)け合わせてできる整数を d とする――

 このときに、どんな数 ε に対しても、

  c > d Λ( 1 + ε )

 をみたす a、b、c の組み合わせは、無限(むげん)には存在(そんざい)をしないであろう――

 

   *

 

 きょうは、

 ――どんな数 ε に対しても――

 の部分から――

 

 ここでいう、

 ――数

 とは、整数だけでなく、小数や分数などのありとあらゆる数のことです。

 ただし、ゼロやマイナスの数は、ふくめません。

 

 ――マイナスの数

 というのは、ゼロよりも少ない数のことです。

 おカネに喩(たと)えると、借金のようなものです。

 

 ―― ε

 は、

 ――イプシロン

 と読みます。

 ギリシャ文字の「e」に当たります。

 

 次に、

  c > d Λ(1 + ε )

 について――

 

  d Λ(1 + ε )

 は、

 ―― 1 + ε 個(こ)の d を掛け合わせる。

 という意味です。

 

 例えば、

  ε = 2

 であれば、

  d Λ(1 + ε )= d × d × d

 で、

  ε = 3

 であれば、

  d Λ(1 + ε )= d × d × d × d

 です。

 

 難(むずか)しいのは、

  ε = 0.5

 とか、

  ε = 0.1

 とかの場合が考えられる点でしょう。

 

 ―― 1.5 個とか 1.1 個とかの d を掛け合わせるって、どういうこと?

 と、ふしぎに思う人が多いでしょうね。

 

 実は――

 そこまで難しくはありません。

 

 ―― 0.5 個の d

 というのは、

  0.5 個の d × 0.5 個の d = d

 となるような数のことです。

 つまり、その数 2 個を掛け合わせると d になる数です。

 

 同じように、

 ―― 0.1 個の d

 は、その数 10 個を掛け合わせると d になる数です。

 

 最後に、

 ――無限には存在をしないであろう。

 の部分――

 

 これは、

 ――そんなに少なくはないかもしれないが、人が想像をできないくらいに多いわけではないであろう。

 くらいの意味です。

 

 『10 歳の頃の貴方へ――』