マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

加点方式の再考――議論参加式・企画関与式について

 入学試験や資格試験では、

 ――議論参加式

 や、

 ――企画関与式

 の問題が好ましい、ということを――
 きのう・おとといの『道草日記』で述べています。

 また――
 これら2つの方式について――
 入学試験で取り入れるなら、

 ――加点方式

 がよく――
 資格試験で取り入れるなら、

 ――減点方式

 がよい――
 とも述べました。

 が――
 そう述べた後で――

(加点方式だと、ちょっとマズイな~)
 ということに気づきました。

 どういうことか――

 ……

 ……

 おとといの『道草日記』で示したのと同じ具体例を用い――
 述べましょう。

 いま――
 倍率が3倍の入学試験で――
 受験者A、B、C、D、E、F、G、H、I、Jの10人が議論に参加をしたとします。

 議論が終わった後――
 各受験者は、議論を深めるのに優れて貢献をした受験者を、次のように選び出したと仮定します。

  A → E、H
  B → A、E、I
  C → B、D
  D → A、E、F
  E → B、C、G
  F → E、H、I
  G → C、F
  H → E、J
  I → D、G、J
  J → C、G

 一方――
 各受験者の選び出しの仕方――選び出しが、事実に基づき、論理に沿って、なされているか――の採点結果は、次のようであったと仮定します。

  A 7点 
  B 8点
  C 2点
  D 6点
  E 8点
  F 5点
  G 3点
  H 4点
  I 2点
  J 3点

 これら仮定により――
 各受験者は、自分以外の他の受験者から、

  A ← B、D
  B ← C、E
  C ← E、G、J
  D ← C、I
  E ← A、B、D、F、H
  F ← D、G
  G ← E、I、J
  H ← A、F
  I ← B、F
  J ← H、I

 のように選び出されたことになるので――
 各受験者の評価は、次にようになります。

  A 8+6 = 14点
  B 2+8 = 10点
  C 8+3+3 = 14点
  D 2+2 = 4点
  E 7+8+6+5+4 = 30点
  F 6+3 = 9点
  G 8+2+3 = 13点
  H 7+5 = 12点
  I 8+5 = 13点
  J 4+2 = 6点

 よって――
 上位3名は、30点のE、14点のA、14点のCの3人となります。

 ところが――
 このような評価の仕方には、重大な難点がありました。

 それは――
 自分以外の他の受験者を選び出す際に、

 ――適正に選び出そうとする動機が生じにくい。

 ということです。

 どんなに事実に基づき、論理に沿って、誠心誠意、選び出したところで――
 自分の合格には結びつきません。

 自分が選び出した他の受験者の合格に結びつくだけです。

 これでは――
 お人よしの受験者以外は、真面目に選び出そうとはしないでしょう。

 この難点を取り除くには――
 例えば――
 他の受験者の選び出しの採点結果を、自分自身の評価に加える――
 ということが挙げられます。

 すなわち、

  A 8+6 = 14点
  B 2+8 = 10点
  C 8+3+3 = 14点
  D 2+2 = 4点
  E 7+8+6+5+4 = 30点
  F 6+3 = 9点
  G 8+2+3 = 13点
  H 7+5 = 12点
  I 8+5 = 13点
  J 4+2 = 6点

 ではなく、

  A 7+8+6 = 21点
  B 8+2+8 = 18点
  C 2+8+3+3 = 16点
  D 6+2+2 = 10点
  E 8+7+8+6+5+4 = 38点
  F 5+6+3 = 14点
  G 3+8+2+3 = 16点
  H 4+7+5 = 16点
  I 2+8+5 = 15点
  J 3+4+2 = 9点

 とするのですね。

 この場合には――
 上位3名は、38点の受験者E、21点の受験者A、18点の受験者Bの3人となります。

 くしくも――
 選び出しの仕方の採点結果の高い受験者A、B、Eの3名が――
 そのまま上位3名となりましたが――

 もちろん――
 いつもこうなるとは限りません。

 各受験者の選び出しが、
  A → C、E
  B → A、E、I
  C → B、D
  D → A、C、E、
  E → B、C、G
  F → C、E、H
  G → C、F
  H → C、E
  I → C、G、J
  J → C、G

 であるとすると、

  A ← B、D
  B ← C、E
  C ← A、D、E、F、G、H、I、J
  D ← C
  E ← A、B、D、F、H
  F ← G
  G ← E、I、J
  H ← F
  I ← B
  J ← I

 のように選び出されたことになるので――
 選び出しの仕方の採点結果が、同じ、

  A 7点 
  B 8点
  C 2点
  D 6点
  E 8点
  F 5点
  G 3点
  H 4点
  I 2点
  J 3点

 であっても――
 各受験者の評価は、

  A 7+8+6 = 21点
  B 8+2+8 = 18点
  C 2+7+6+8+5+3+4+2+3 = 40点
  D 6+2 = 8点
  E 8+7+8+6+5+4 = 38点
  F 5+3 = 8点
  G 3+8+2+3 = 16点
  H 4+5 = 9点
  I 2+8 = 10点
  J 3+2 = 5点

 となります。

 この場合は――
 選び出しの仕方の採点結果が最低点である受験者Cが、最高点の評価を得ています。