――宇宙際(うちゅうさい)タイヒミュラー理論(りろん)
の、
――宇宙際
というのは、
――ぼくらが日ごろ十分に知っている算数・数学と、ぼくらが日ごろ十分には知らない未知の算数・数学との間の――
くらいの意味になる――
と、きのう、のべました。
きょうは、
の、
――タイヒミュラー理論
の方について――
……
……
――タイヒミュラー
というのは――
人の名前です。
20世紀前半のドイツに、
――オスバルト・タイヒミュラー(Oswald Teichmüller)
という数学者がいました。
タイヒミュラーは、
――複素数(ふくそすう)
という少し変わった数について――
たがいに複雑(ふくざつ)かつ密接(みっせつ)に絡(から)みあっている2つの要素を上手に切りはなす理論を考えだしました。
つまり、
の、
――タイヒミュラー理論
というのは、
――たがいに複雑かつ密接に絡みあっている2つの要素を上手に切りはなす理論
という意味です。
20世紀前半にタイヒミュラーが考えだしたのは、複素数という少し変わった数についての理論でしたが――
は、
――掛(か)け算と足し算との関係
についての理論です。
10月30日に――
数学の世界では、掛け算と足し算とは、切りはなそうと思っても、なかなか切りはなせないくらいに、たがいに複雑かつ密接に絡みあっていると考えられている――
と、のべました。
その、
――掛け算と足し算との関係
を切りわける――
というのが、
なのです。
では――
いったい、どうやって切りわけるのか――
……
……
そのときに使うのが――
きのう、のべた、
――宇宙際
という考え方です。
ぼくらが日ごろ十分に知っている算数・数学とは別に、ぼくらが日ごろ十分には知らない未知の算数・数学というものがあると考えて――
その“未知の算数・数学”との関係を上手に使って、掛け算と足し算との関係を切りわけます。
……
……
と――
こう、のべると――
まるで、ぼくが、
のことを十分にわかっているかのようですが――
そうではありません。
以上のことは――
のことを十分にわかっていらっしゃる数学者の方が、数学者ではない人たちに向けて、お書きになっている本の中で説明がされていることをふまえて――
のべています。
『10 歳の頃の貴方へ――』