――宇宙際(うちゅうさい)タイヒミュラー理論(りろん)
では――
ぼくらが日ごろ十分に知っている算数・数学とは別に、ぼくらが日ごろ十分には知らない未知の算数・数学というものがあると考えて――
その“未知の算数・数学”との関係を上手に使って、掛(か)け算と足し算との関係を切りわけていく――
と、きのう、のべました。
ここでいう、
――未知の算数・数学
とは、何か――
それは――
ぼくらが日ごろ十分に知っている算数・数学とは、何が違(ちが)うのか――
ちょっと気になりますよね。
……
……
いま、
――ぼくらが日ごろ十分に知っている算数・数学
を、
――ぼくらの算数・数学
と呼(よ)ぶことにしましょう。
このときに、“ぼくらの算数・数学”と“未知の算数・数学”との違いは何かというと――
それは、
――現実の世界
と、
――実写ドラマの中の世界
との違いに似(に)ているといいます。
――現実の世界
と、
――実写ドラマの中の世界
とが、まったく別の世界であるように、
――ぼくらの算数・数学
と、
――未知の算数・数学
とは、まったく別の算数・数学である一方――
――現実の世界
と、
――実写ドラマの中の世界
とが、かんたんには見分けがつかないくらいに同じにみえるように、
――ぼくらの算数・数学
と、
――未知の算数・数学
とも、かんたんには見分けがつかないくらいに同じにみえる――
といいます。
これら2つの算数・数学が同じにみえるので――
例えば――
ある、
――現実の世界
での形――例えば、カギの形――と、
――実写ドラマの中の世界
での形――例えば、カギ穴の形――とを実写ドラマの画面を通して形式的に重ねあわせることができるように――
ある、
――ぼくらの算数・数学
での数と、
――未知の算数・数学
での数とを形式的に結びつけることができます。
この結びつけ方に工夫をほどこすことによって、
――掛け算はできるけれども、足し算はできない。
という状況(じょうきょう)を作りあげて――
その状況のもとで、
――掛け算を足し算から切りはなす。
ということを行うのが、
の狙(ねら)いであるといいます。
『10 歳の頃の貴方へ――』