――宇宙際(うちゅうさい)タイヒミュラー理論(りろん)
が発表をされたのは、2012年のことでした。
その発表の内容が、あまりにも目新しく、かつ、難しかったので――
数学の論文(ろんぶん)として正式に出版(しゅっぱん)をされるまでに、10 年近い年月が必要でした。
数学の世界に限(かぎ)らず――
ある考えが正式な論文として出版をされるには――
ほかの学者からチェックを受ける必要があります。
その論文に書かれている内容に何か間違(まちが)いはないかどうかのチェックです。
も、当然のことながら、ほかの数学者からチェックを受ける必要がありました。
そのチェックに 7 年半もかかったそうです。
数学以外の多くの学問の論文のチェックは、数か月くらいで済(す)みます。
数学の場合も、数か月で済む場合が多いそうですが――
なかには、2 ~ 3 年もかかるものがあるそうです。
数学の場合は――
同じ数学者であっても、ほかの数学者の論文を読んで理解(りかい)をするのは、とても大変なのだそうです。
とはいえ――
のチェックに 7 年半もかかったというのは――
ちょっと、ふつうではありません。
それくらいに――
この理論は目新しくて難しいということなのです。
発表後、数年が経(た)ったころは、
――宇宙際タイヒミュラー理論のことがわかっている数学者は、世界で数名しかいないであろう。
といわれていました。
その話をきいて――
多くの人が、ドイツ生まれの理論物理学者アルベルト・アインシュタイン(Albert Einstein)によって1915年ころに発表をされた一般(いっぱん)相対性(そうたいせい)理論(りろん)のことを思いうかべたはずです。
一般相対性理論も――
発表をされたころは、
――世界で数名しか理解をしていないはずである。
と、いわれたそうです。
それから 100 年以上が経った現在では――
物理学の勉強を専門(せんもん)に行っている世界中の大学生の多くが理解をしています。
も、いずれは、数学の勉強を専門に行う世界中の大学生の多くによって理解をされるようになるでしょう。
が――
そうなるには、30 ~ 100 年くらい、かかるのかもしれません。
『10 歳の頃の貴方へ――』