マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

数名だけ → 二十数名にも

 ――宇宙際(うちゅうさい)タイヒミュラー理論(りろん)

 と呼(よ)ばれる理論が考え出されたのは、

 ――ABC予想

 が正しいことを示(しめ)すためであった――

 と、10月30日に、のべました。

 

 ――ABC予想

 が、いっていることは、だいたいは、

 ――掛(か)け算のことは足し算のことから切りはなして考えることもできる。

 ということであったので――

 もし、はじめから掛け算を足し算から切りはなして考えていけば、

 ――ABC予想

 が正しいことを示せるのではないか――

 という発想のもとに、

 ――宇宙際タイヒミュラー理論

 が考え出された、と――

 

 ……

 

 ……

 

 が――

 この理論は、あまりにも目新しく、かつ難(むずか)しい内容であったので――

 発表後、数年のうちは、

 ――世界で数名しか理解をしていないはずである。

 と、いわれていたらしいことは――

 11月3日に、のべた通りです。

 

 そのような、

 ――わかっているのは世界で数名だけ――

 という状況(じょうきょう)が――

 ここ数年では、だいぶ変わってきていて――

 

 今では――

 その、

 ――数名だけ――

 が、

 ――二十数名にも――

 となっているそうです。

 

 もちろん、

 ――全世界で二十数名――

 ですから――

 

 あいかわらず、

 ――二十数名だけ――

 ともいえるのですが――

 

 ――数名

 から、

 ――二十数名

 への増加(ぞうか)というのは――

 ある意味で、

 ――ふくれあがった。

 といってもよい、と――

 ぼくは思っています。

 

 ――数名だけ――

 のころは、

 ――宇宙際タイヒミュラー理論

 が、どこか根本的な間違(まちが)いをふくんでいる可能性もあったそうです。

 

 当然ですね。

 ――数名だけ――

 というのは、いかにも心配です。

 

 が――

 

 ――二十数名にも――

 となった今では、

 ――少なくとも“根本的な間違いをふくんでいる可能性”は、ほぼ無くなった。

 と考えられるのだそうです。

 

 どういうことかいうと――

 

 ――宇宙際タイヒミュラー理論

 は、あまりにも目新しく、かつ難しい内容なので――

 

 この理論のことを完全にわかろうと思ったら――

 かなり優れた数学者であっても、数年間にわたって、この理論に重大な関心を持ちつづける必要があり――

 そのようにして重大な関心を持ちつづけた二十数名もの数学者たちが、だれ一人として、この理論の根本的な間違いに気づけない、ということは、

 ――ちょっと、ありえそうにもない。

 ということのようです。

 

 『10 歳の頃の貴方へ――』