いくら国語や英語を学んでも――
人は、世界の仕組みを知ることはできない――
と、きのう、のべました。
世界の様子はわかるけれども――
世界の仕組みはわからない――
と――
……
……
そのことは――
例えば、
――地球は太陽の周りを回っている。
ということを考えれば――
よくわかります。
地球が太陽の周りを回っている、ということは――
月が地球の周りを回っているように、回っている――
ということですよね。
月が地球の周りを回っている、ということは――
算数・数学を学び、
――万有引力(ばんゆういんりょく)の法則(ほうそく)
ということを学ばないと――
ちゃんとは、わかりません。
いくら国語や英語を学んで――
月が地球の周りを回っている様子を言葉で表すことができるようになったとしても――
それによって、月が地球の周りを回っている仕組みを解(と)き明かすことは、できないのです。
月が地球の周りを回っている仕組みを解き明かすことができなければ――
地球が太陽の周りを回っている、ということも――
ちゃんとは、わかりません。
国語や英語を学んでいれば――
地球が太陽の周りを回っている様子を言葉で表すことはできて――
そのことを、自分が、どのように感じ、どのように考えるかを説き明かすことはできますが――
その仕組みを解き明かすことまでは、絶対(ぜったい)にできないのです。
……
……
きのう、ぼくは、次のように、のべました。
言語で、わかるのは――
結局は、自分自身の、
――心の内のこと
だけである、と――
……
……
国語や英語を学んでいれば、
――心の内のこと
を説き明かすことはできます。
あるいは、
――世界の様子
を説き明かすこともできます。
が、
――世界の仕組み
を解き明かすことはできません。
――心の内のこと
を解き明かすこともできません。
――解き明かす
と、
――説き明かす
との違(ちが)いです。
国語や英語では、
――説き明かす
ということはできますが、
――解き明かす
ということはできないのです。
『10 歳の頃の貴方へ――』