――内科では“共感にもとづく知恵”が本質であり、外科では“感嘆をもたらす技術”が本質である。
ということを――
3日前の『道草日記』で述べました。
もう少し具体的にいえば、
――内科では“共感にもとづく知恵”を示す必要があり、外科では“感嘆をもたらす技術”を施す必要がある。
となる、ということも――
述べました。
このように内科と外科との違いに目を向けてばかりいると――
肝心のことを見落とします。
その「肝心なこと」とは、
――内科も外科も目指すところは同じである。
ということです。
それは、
――医学・医療の最終目標
といってもよいでしょう。
その「最終目標」というのは――
簡単にいえば、
――病気や怪我を完全に元通りに戻すこと
です。
ただし――
それを実際に行うには、
――体の仕組みを完全に解き明かすこと
が必要です。
体の仕組みが完全にわかっていなければ――
病気や怪我によって生じた体の不具合をすっかり治すことは、できないからです。
元の様子が完全にわかっていなければ――
完全に元通りに戻すことなど、できるはずがありません。
このことを重くみて、
――よし! まずは体の仕組みを完全に解き明かそう!
と考え始めたのが――
古代の医者たちでした。
が――
体の仕組みを完全に解き明かすことは至難の業でした。
数千年の時を費やしてなお――
医者たちは体の仕組みを完全には解き明かせていません。
このことを重くみて、
――よし! ならば、病気や怪我を完全に元通りに戻すことは諦め、少しでも元通りに近づけていくことにしょう!
と考え始めたのが――
近代の医者たちです。
つまり――
古代の医者たちは、体の仕組みについて、
――よくわからない。
ということを重くみて、知恵を絞り始めたが――
数千年の時を経て――
それでは、病気や怪我を、
――よくできない。
ということが明らかになったので――
近代の医者たちは、技術を磨き始めた――
ということです。
この――
“古代の医者たち”の発想を色濃くとどめているのが、
――内科
であり――
“近代の医者たち”の発想を色濃く受け継いでいるのが、
――外科
である――
といってよいでしょう。