人の世の大多数の凡人たちが形成をする総意――凡人たちの意志の相加平均――というものは――
当然のことながら――
概して平凡である。
ここでいう、
――平凡
とは――
人の意志の性質を何本かの軸――価値評価の座標軸――で表す時に――
いずれも平均の値をとる――
ということである。
凡人たちが人の世の大多数を占めているのだから――
当然である。
否――
話は逆で――
それら何本かの軸で、いずれも平均の値をとるような――
そのような総意に与する人たちを称して、
――凡人たち
と呼ぶ――
というのが正しい。
価値評価の座標軸としては、次のようなものが挙げられる。
――保守か革新か
――博愛か偏愛か
――理知か厚情か
他にも挙げられよう。
必要なことは――
これら価値評価の座標軸は、互いに独立である――
ということだ。
これは――
図に描いて示せば――
座標軸が互いに直交をしている――
ということである。
そして――
これら何本かの軸で価値評価を下す時の平均の値がゼロとなるように――
原点を定める――
そうすると――
凡人たちの意志の相加平均は――
常に原点の付近に漂うこととなる。
――歴史は凡人たちが作る。
と考えるならば――
この原点こそ――
歴史の起源かもしれぬ。
『随に――』