政治家は――
政治をわかりやすくするために、
――殺し合い
を厭(いと)わぬ。
それが――
本物の「命」の遣り取りか、政治家の「政治生命」の遣り取りかは――
別にして――
……
……
特に、
――平凡
たらんとする政治家は、
――政治に“殺し合い”は必要だ。
と考える。
――それが政治だ。
と――
……
……
実際に――
そうであろう。
でなければ――
近代以前の政治で――
あれほど多くの血が流れた理由を説き明かせぬ。
政治は――
それを周りで観ているだけの者たちにとって、わかりやすくあるために――
血塗(ぬ)られてきた。
そんな政治に――
平凡な政治家は疑問を抱かぬ。
――本来、政治に“殺し合い”は不要かもしれないが、それでは政治を周りで観ているだけの者たちにとっては、わかりにくい。よって、“殺し合い”は必要である。必要悪なのである。
と――
ゆえに――
平凡な政治家は――
逃げずに戦おうとする。
――逃げてはならぬ、戦わねばならぬ、政治をわかりやすくすために――
と――
その帰着に思いをよせることは――
おそらくは、ない。
『随に――』