平凡な政治家は――
逃げずに戦おうとする。
が――
非凡な政治家は違う。
できるだけ戦わずに、うまく逃げようとする。
政治の“殺し合い”を避けようとする。
なぜ――
それを避けようとするのか。
……
……
政治の“殺し合い”は――
しばしば国家間の殺し合いと化すからである。
国家間戦争である。
国家間戦争では――
時に何万、何十万という数の人々が殺される。
平凡な政治家は――
それを「良し」とする。
――それが政治だ。
と嘯(うそぶ)く。
その嘯きに――
人の世の大多数を占める凡人たちは、
――わかりやすい。
と賛意を示す。
これに対し――
非凡な政治家は、
――そんな政治は間違っているのでは?
と訝(いぶか)しむ。
その訝しみに――
人の世の大多数を占める凡人たちは、
――わかりにくい。
と疑義を示す。
それでも――
非凡な政治家は諦めぬ。
なぜか。
それが――
人類史上、未解決の課題であるからだ。
……
……
ほんの3年くらい前まで、
――国家間戦争は、21世紀以降は起こりえぬ。
と信じられていた。
それを――
2022年の東欧の戦禍が覆す。
ロシア政府によるウクライナ侵略である。
ただし――
ロシア政府はウクライナを国家とは認めていない――おそらく、本音では――
……
……
政治が“殺し合い”に流れ――
しばしば国家間戦争が起こり――
時に何万、何十万という数の人々が殺される――
こうした事態を――
いかに避けるか。
それは――
人類史上、今も現在進行中の課題である。
『随に――』