ロシア人たちもウクライナ人たちも「自分たちこそが“親”だ」と思ってきた――
それゆえに起こったのが、2022年のロシア政府によるウクライナ侵略である――
そう考えれば――
合点がいく。
あの戦いの凄惨さの理由が――
よくわかる。
……
……
――どちらも「自分たちこそが“親”だ」と思ってきた。
とは、どういうことか。
……
……
9世紀から13世紀にかけて――
東欧・北欧に、
――ルーシ
と呼ばれる専制国家があった。
――大公
を君主に戴き――
その下に有力な諸公たち――貴族たち――を君主とする公国――分国――が幾つかあって――
互いに緩やかな連合をしていたようである。
その版図は――
大まかにいって、今日のロシア政府の領土の西方およびウクライナ政府の領土、ベラルーシ政府の領土と重なっていた。
この専制国家は、9世紀の終盤に成立をし――
以後しばらくは、
――1つの国家
の体裁が保たれていたが――
11世紀から12世紀にかけ――
次第に保たれなくなってくる。
国家が分裂を始めた。
もともと幾つかの分国の寄り合いであった。
分裂は自然な流れであった。
この分裂に拍車をかけた出来事が起こる。
13世紀の初頭――
東方からの侵略である。
『随に――』