カネの使い方には4通りある――
という考え方があるそうですね。
1)自分のカネを自分のために使う。
2)自分のカネを他人のために使う。
3)他人のカネを自分のために使う。
4)他人のカネを他人のために使う。
このうち、1)~3)には、すべて「自分」が絡んでいます。
このように、どこかに「自分」が絡むとき、カネは適切に使われることが多いようです。
「適切に」とは、多くの場合、「ムダがなく」の意味です。
問題なのは 4)だといいます。
これには「自分」が絡まない――
だから、しばしばカネは不適切に使われます。
ムダの多い使われ方をするということです。
一般に「公的資金」と呼ばれるものは、4)のパターンですよね。
あるいは、会社員にとっての会社のカネなども、たぶん似たようなものでしょう。
4)のパターンで、カネを適切に使うためには、何が必要でしょうか。
問題の本質は、組織と個人との関係性だろうと思います。
「他人のカネ」というのは、往々にして「自分が属する組織のカネ」であるからです。
つまり、自分が属する組織のカネを使う個人が、その組織での自分の役目を、どれくらい客観的にみられているか、ということです。
それは、
――自分は組織にとって何者か。
という問いかけにも通じる問題です。
そういう問いかけが不十分であり、自分が属する組織における自分の役目を十分に認識していない個人は――
4)のパターンが巡ったときに、たぶん不適切なカネの使い方をしてしまうのです。
そして、たぶん、そのことを自覚することもなく――
組織として使うべきところに、しっかりカネを回せるセンスは――
組織と自分との距離感を冷徹に分析しようとする態度から生まれるのではないでしょうか。