マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

人事は難しい

 ――人事は難しい。

 と、いわれます。

 組織の中にあって――
 どの人材を、どの部署へ、どの時期に配置するかを決めるのは、常に難問であり続ける――
 という意味で理解されることがふつうです。

 が、それは、あくまでも表の意味でして――
 実際には、この言い回しの陰で、裏の意味が怪しく蠢(うごめ)いています。

 それは、

 ――人事は失敗が恐ろしい。

 ということです。

 本当に恐ろしいと思います。
 組織の一つや二つ、あっという間に吹き飛ぶ可能性があります。

 なぜならば――
 誤った人事は、組織の中の人の和を容易に乱し――
 いったん乱れてしまった和は、容易なことでは整わずに――
 いつしか、組織は瓦解するからです。

 組織とは、結局は「人の和」が構造化されたものにすぎません。
「人の和」が乱れれば、組織は立ち行かないのです。

 つまり――
「人事が難しい」というのは、

 ――巧い人事は難しい。

 ではなく、

 ――無難な人事でさえ難しい。

 ということを示しているのです。