――人事は難しい。
と、いわれます。
組織の中にあって――
どの人材を、どの部署へ、どの時期に配置するかを決めるのは、常に難問であり続ける――
という意味で理解されることがふつうです。
が、それは、あくまでも表の意味でして――
実際には、この言い回しの陰で、裏の意味が怪しく蠢(うごめ)いています。
それは、
――人事は失敗が恐ろしい。
ということです。
本当に恐ろしいと思います。
組織の一つや二つ、あっという間に吹き飛ぶ可能性があります。
なぜならば――
誤った人事は、組織の中の人の和を容易に乱し――
いったん乱れてしまった和は、容易なことでは整わずに――
いつしか、組織は瓦解するからです。
組織とは、結局は「人の和」が構造化されたものにすぎません。
「人の和」が乱れれば、組織は立ち行かないのです。
つまり――
「人事が難しい」というのは、
――巧い人事は難しい。
ではなく、
――無難な人事でさえ難しい。
ということを示しているのです。