マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

人の心の矛盾を一身に

 人の心を意識と無意識とにわけて理解するのは、けっこう合理的だと思っています。

 と、いいますのは――
 意識というものが、あまり合理的ではないからです(笑

 人が意識的に感じたり考えたりすることは――
 通常は、そんなに緻密でも論理的でもありません。

 むしろ、いい加減なことのほうが多い――(笑

 が――
 ある種の人たち――芸術家や学者など――の感じたり考えたりすることが、ときに、ものすごく緻密で論理的であったりするものだから――
 多くの人が、意識というものは、とても合理的なものだと信じてしまいがちなのです。

 実際には、そうでもない――(笑

 その理由を無意識に求めたのは、なかなかに優れたアイディアでした。

 つまり――
 人が意識的に感じたり考えたりするときには、ほぼ必ずといってよいほどに無意識の影響を受けているのだ、という解釈は――
 意識というものが必ずしも合理的ではないことに、かなり合理的な説明を与えているのです。

「無意識の影響」というのは、

 ――無意識で感じたり考えたりすることによる影響

 ということですね。
 例えば、

 ――この人、嫌いだ。

 と意識はしても、実は無意識に人柄や外見に興味を持ってしまって、あれこれと詮索をしてしまったり――
 あるいは、

 ――あの人は素敵――

 と意識しても、実は無意識に欠点の糾弾や粗捜しをしてしまって、何気なく手厳しい批判をしてしまったり――

 無意識というのは、実に便利なアイディアですね。
 人の心の矛盾を一身に受け止めてくれています。(笑