今回の震災で、
――日本に天罰が下ったのだ。
と発言をした政治家がいるそうです。
事の真相を僕は知りません。
その政治家の発言を目の前できいたわけではありませんし、TVカメラの前でいっているのを画面越しにみたわけでもありません。
ですから、その政治家の名前を出すことは、あえてしません。
事実誤認の可能性がありますので――
ただし――
もし、その政治家が、本当にそのような発言をしたのだとしたら、
――実に不愉快だ。
と述べておきましょう。
「天罰が下った」というからには、そこに「天のご意志」を見出しているはずです。
が――
人は、「天のご意志」の本当のところを確かめることは、できません。
天にお伺いをたてることは、できないのですから――
もちろん、「天のご意志」を推し量ることはできます。
――きっと天はお怒りなのだろう。
と察することはできます。
ですから――
一人ひとりが自分の胸のうちで密かに、
――天罰が下ったのかも……。
と省みるのは悪いことではないでしょう。
が――
それを人前で公言するとなれば、話は別です。
百歩譲って――
思想家や宗教家なら構いません。
思想家や宗教家の公言は、実のところは公言ではなく――
自分を信奉する信者たちに向かって、ある種、プライベートの発言をしているにすぎないと、みなせますから――
が――
政治家に思想家や宗教家のような発言は不要です。
政治家は、人々の利害調整にあたるのが務めです。
公言に擬したプライベートの発言は、務めを滞らせます。