――座談の妙
というのがあります。
4~5人を相手に車座になって、とうとうと語りきる――
決して独りよがりに陥ることなく、予想外の話題を次々と持ち出して、聞く者たちの心をとらえて離さない――
そのような座談の妙を体現する人が、ときどきいるのです。
そういう座談を味わった者が、
――今度は自分が!
と意気込み、試みるけれども――
結果は惨憺たるものになったりします。
独りよがりに陥って、同じ話題を繰り返し、聞く者たちの心を真っ白にする――
おそらく、座談の名手は天賦の才をもっています。
その場の微妙な雰囲気をよみきって、適切な言葉を紡ぎだす――そういう才覚です。
僕には、そういう才覚がありません。
ですから、座談の妙を体現しようなどとは、つゆも思わないのですが――
座談の名手の妙技を理解したいとは思っています。
理解したって実践できなければしょうがない――
という向きもありましょうが――
純粋に、妙技のカラクリが知りたいのです。
それくらい、座談の妙には不思議な背景が潜んでいると思うのです。