ファンタジーの難しさは――
物語のメッセージが2重構造をとりやすいという点でしょう。
ファンタジーは、物語の舞台を新奇に作成し、その舞台の上で出来事が展開されていきます。
メッセージが2重構造をとるとは――
新奇の舞台が放つメッセージとその舞台で起こる出来事が放つメッセージとが重なってしまう、ということです。
調和して重なっていればよいのですが――
たいていは、多少なりとも不調和がある――
例えば、
――この舞台で、この出来事は不必要ではないか、
などと――
そうした懸念を払拭することに、ファンタジーの語り部は徹しなければならず――
そうした懸念から自由であるように、ファンタジーの受け手は努めなければなりません。